GO! GO!! GO!!! もう一度会いたいマテーラとオストゥーニのホテルのマダム

もう一度会いたいマテーラとオストゥーニのホテルのマダム

ホテルの良し悪しでその旅の印象が変わる。今まで仕事で多くのホテルに宿泊した。5つ星のデラックスホテルもあれば2つ星の簡素なホテルもあった。しかし、ホテルの良し悪しは星の数ではないということを知った。当たり前のことだが、それは「おもてなしの心」、英語ならHospitalityによるものだと思う。そのおもてなしの心をもって迎えてくれた、今でも印象に強く残っているホテルを紹介する。

Albergo Italia, Matera

matera

特に心に残っているホテルは、世界遺産都市マテーラにあるAlberogo (Hotel) Italiaだ。このホテルはツアーの添乗員として4回訪れている。
近年マテーラの人気が上がるとともに、新しいホテルがずいぶんとできた。どれもマテーラのサッシ(洞窟)を有効に使ったユニークなホテルだ。けれどもこのホテルはいわゆる普通の建物で、薄緑(うぐいす色)の壁にローマ時代の柱風のアクセントの外観だが、特にサッシ風でもなんでもない。なのに、次にマテーラを訪れる時はきっとこのホテルを予約するだろう。それはどうしてか?

それは筆者がどうしてもと頼んで撮らせてもらった上の写真に答えがある。

このマダムのカメラを向けられた時の、ちょっとはにかんだ笑顔はどうだろう?とってもチャーミングだ。一度このホテルに泊まったことがある人は、この笑顔に会いに行くために再び宿泊したくなるのだ。

このホテルは家族で切り盛りしている。息子たちは英語を話すが、その母親であるマダムはイタリア語しか話せない。
普段の彼女の笑顔はまた違う。訪れるたびに屈託のない笑顔で迎えてくれ、こちらのイタリア語が拙いことも構わずに話しかけてくる、例えるならなにわのおばちゃん風だ。ツアーの参加者一人一人を気にかけてくれ、イタリア語がままならない参加者にも容赦なく話しかける。彼らが返事できなくて困っているときは筆者が息子に英語で話しかけ、息子が母親であるマダムに伝える。そんな奇妙な通訳を幾度となく行ったものだ。
しかし、例え宿泊客が誰もイタリア語を話せなくても、彼女にとっては関係ないことだ。ホテル業務はほとんど息子たちが行い、彼女はつねに宿泊客を気にかけてフロントを通る度に話しかける、それが彼女の仕事なのだと思う。

筆者自身もマダムにずいぶんと助けられた。
同室どうしのツアー参加者のそりが合わず、2名1部屋を急きょ別々の部屋にしてほしい、といわれた時は、すぐに追加の部屋を用意してくれた。大した規模のホテルではないので、無理をしてくれたのだと思う。
またあるとき、ツアー参加者全体でミーティングをしたいと言われたのだが、その時は「フロント横にある広間をミーティングに使いなさい」と言ってくれた。だからといって、ミーティングルームの使用料なんか請求しない。
夕食は地下にある洞窟風のレストラン(これが近所の人達には人気なのだそうだ)で食事をするのだが、その時はフロントからわざわざレストランまで降りてきて、何かしらかまってくれる。

まだまだ添乗員として一人前ではなく生意気だった頃、ツアーのことばかり優先してマダムにきつくあたったこともある。しかし次に訪れた時、変わらぬ笑顔で迎えてくれる。それに何度と救われたことか?
最後に宿泊してからずいぶんと経ったが、まだ元気でフロントに立っているのだろうか?それだけが気がかりで、マテーラに行きたくなる。

Hotel Incanto, Ostuni

ostuni

次はプーリア州のオストゥーニだ。ここのHotel Incantoもマテーラと同じツアーで4回訪れている。マテーラのホテルのマダムがなにわのおばちゃん風なら、こちらはとても上品な英国夫人風のマダムだ。
このホテルを少し紹介しよう。いわゆる旧市街の中、もしくはその近くといった便利な立地ではなく、アドリア海を望む高台にある。海岸とホテルの間には一面オリーブ畑が広がり、とても見晴らしが良い。だが、旧市街まで歩くには少々厳しく(1.5㎞ほどある)、スケッチが目的のツアーには少々不向きだ。スケッチをするツアー客は、出来ればホテルからスケッチポイントまで歩いていきたいのだ。日中スケッチをして、疲れたら自分のペースでホテルに戻り休息する。また、旧市街でトイレが見つからない時、ホテルに戻って用を足す。それが出来ないホテルは不便ということである。

にもかかわらず参加者に好評だったのは、やはりマダムのもてなしだろう。いつもフロントでニコニコしていて、一日旧市街を歩き回って疲れて戻ったときには、その笑顔に癒されたものだ。それでいて仕事はてきぱきとこなし、部屋の不具合にも素早く対応できる。大型ホテルの割にはスタッフが少ないので、マダムは何でもこなす。

ここでの思い出は何といっても夕食時だ。アメリカから来た団体客と一緒になったとき、陽気なアメリカ人はアルコールも手伝ってか、音楽に合わせて踊り始めた。日本からの参加者はそういったときはたいてい静かに見ているものだが、そのときばかりはアメリカ人につられて踊りだした。それをうまく盛り立てたのがマダムだった。シャイな日本人をそれとなく盛り立て、席から立たせて踊るように仕向けたのだ。それはけっして押しつけではなく自然な盛り立て方だったのが、とても印象的だった。
どちらのホテルも、共通するのはマダムの笑顔。それは何にも勝るおもてなしだ。最近「シンギュラリティ=AIの知能が人類の知能を超える」といわれ、多くの仕事がAIにとって代わると言われているが、この笑顔でもてなす心はけっしてAIに替わることはないだろう。

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