旅行素材は利権からオープンソース化へ

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テニスの聖地ウィンブルドンのホスピタリティサービス
高額なチケット代を隠すための観戦パッケージのホスピタリティサービスのひとつ

今回は旅行会社スタッフの独り言として、旅行業界のちょっと内輪な話をしよう。

人は利権が大好きで、旅行業界でもそれは同じだ。特定のディスティネーション、特別なイベント、特別な旅行素材、これらを自社だけのエクスクルーシブな素材として販売したがる。他社との差別化を図っているわけだ。しかしこれは果たして利用者のためになっているか?

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利権が集まるスポーツイベント

とくにスポーツイベント関連は利権だらけ。オリンピックの観戦ツアーは今でも公式旅行会社しか販売できない。そして当社が取り扱っている、オリンピック以外のスポーツ観戦も利権によって販売されている。
例えば、テニスのグランドスラムのひとつ、ウィンブルドンはAELTC(オール・イングランド・ローン・テニス・アンド・クローケー・クラブ)が指定する英国のオフィシャルエージェント2社が全ての販売権を握り、それを全世界に販売している。1社はヨーロッパ・アフリカ・北米地区を担当し、もう1社がアジア・オセアニアその他を担当している。そして、公式にはチケットオンリーはウィンブルドンの公式サイトでしか販売せず、これらのオフィシャルエージェントは必ずホスピタリティパッケージもしくは宿泊付パッケージとして販売している。

実際にウィンブルドンへ行かれたことがある方は、手にしたチケットの券面額と自分が支払った各パッケージの料金を比べて、けっこう驚いた方が多いだろう。日本は独占禁止法により券面額通りの販売が原則だが、日本を除くほとんどの国ではプレミア価格が存在し、券面額はあってないようなものだ。かつてバブルの頃、日本人がこぞってウィンブルドンのチケットを買い占め、その結果日本人がウィンブルドンのチケット価格を釣り上げたのは有名な話。高額になってしまったチケットを何とか販売しようとしたAELTCが考えついたのが、チケットオンリーの販売ではなくパッケージ販売だ。そして上述の通り、2社のオフィシャルエージェントが取り仕切ることとなった。

ちょうどその頃、在籍していたスポーツイベントと旅行を取り扱う会社の代表が、世界のスポーツを操るフィクサー的存在の人とのつながりで、ウィンブルドンを視察してきた。そして帰国後、例のパッケージを日本で独占的に販売しようとしたのだ。それも男女セミファイナルとファイナルがパッケージされた、最も高いパッケージだ。
ヨーロッパの旅行が70~80万円していたころと比べれば旅行の価格はだいぶ下がっていたとはいえ、旅行代金の中にこの高額なパッケージを含めた旅行など、バブルがはじけたその時期に売れるわけがない、と思ったが、その代表の妙な自信に社員が動き、そして大変な目にあった(それはまた別の話)。

このように、旅行素材のひとつとして組み合わせるものにエクスクルーシブな付加価値(利権によるもの)をつけることが、つい最近まで行われてきたある旅行販売の手法だった。

PCアプリケーションのようにオープンソース化

独占販売は販売者側の利益からみた方法だが、実はまったく旅行客のことを考えていない。旅行者はどこから購入、又は申し込むにしても、それが自分の見たいもの、したいことを満たすものであれば構わないのだ。もし同じものを複数の会社が販売していれば、より安価なものを選べばいい。

~旅行素材は利用者のためになければならない~

上述のウィンブルドンを再び例にとれば、実際に観戦パッケージを販売するための仕組みとしてオフィシャルエージェント2社から購入して販売しなければならないのは変わらないが、この2社のいずれかにコンタクトすれば、基本的にどの旅行会社でもウィンブルドン観戦パッケージを販売することが出来る。“J”のつく大手旅行会社も、地元の小さな旅行会社でもだ。そしてどの旅行会社でも同じ料金で仕入れて販売することが出来る。
仕入をするからにはPCのオープンソース・アプリケーションと同じというには語弊があるが、どの旅行会社でも特別な契約を結ぶことなく販売できるという点では同じである。そしてこのパッケージを購入したい人は、それを販売しているどの旅行会社から購入しても同じサービスを受けることが出来る。

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まとめ

このように、今は利権で独占販売したから利益を独り占め、という時代ではなくなった。旅行会社はそれをどうアレンジして旅行客に提供するかが問われることになるのではないだろうか?

フライトではこれからも旅行客の利便性を第一に、旅行者の希望するものを仕入れて販売していくつもりである。

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