海外旅行再開には出入国制限の緩和プラス検査が不可欠

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GOTOトラベルキャンペーンにより、国内旅行は少しずつ再開している一方、海外旅行は依然として閉ざされたままである。全ての観光業を対象としていないGOTOトラベルキャンペーンは、一体何のための観光需要対応政策なのか?そう思う同業者は少なくないはずだ。
また、再び海外へ出かけることを楽しみにしている一般の方も、一向に開かれない海外への扉に苛立ちを覚えるはずである。

新型コロナウイルスによる海外旅行の制限は、いつ、どのように解除されるのだろうか?2020年9月現在の最新出入国状況をみながら、今後の海外旅行再開への展望を検証したい。

英国を例に日英両国の対応を検証

一時は欧州内で最悪の感染者数及び死亡者数だった英国だが、欧州ではいち早く出入国の門戸を開いた。現在、英国(イギリス、スコットランド・ウェールズ及び北アイルランドを含む)の、日本との出入国対応は以下の通りである。

英国の入国条件

駐日英国大使館ホームページによると、2020年9月現在、日本は英国(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)発表の自己隔離免除リストに登録されている(2020年7月3日公開、8月29日最終更新)。
つまり、日本からの渡航者が英国へ到着した際、他国のように一定期間の自己隔離は必要なく、英国での旅行を開始することができるということだ。ただし、到着48時間前までに、オンラインにて「公衆衛生旅客ロケーターフォーム」に連絡先、旅行の詳細(日程など)やパスポートの詳細を入力して送信しなければならない。

日本の入国条件

では、日本の英国からの渡航者への対応はどうか?

まずは英国から日本へ入国する場合。
外務省の「海外安全ホームページ」によると、「日本における新型コロナウイルス感染症に関する新たな水際対策措置」では、英国は「出入国管理及び難民認定法に基づき上陸拒否を行う対象地域」に含まれている(2020年8月28日更新)。
この水際対策措置では、日本国籍者及び特別永住者を除き、英国からの入国は拒否される。また、在留資格を保持する人の再入国については、日本出国前に追加的防疫措置に応じる旨を誓約し、出入国管理庁から「受理書」の交付を受けた上で、再入国許可を持って出国した人の入国拒否対象地域からの再入国が許可される。

ただし、厚生労働省による検疫強化のため、帰国時に以下の対応を求められる。

(1)過去14日以内に、入国拒否対象地域に滞在歴のある人は、検疫法に基づき、本邦空港にて検疫官にその旨を申告することが義務づけられています。
(2)空港の検疫所において、質問票の記入、体温の測定、症状の確認等が求められます。全員に抗原定量検査等(※2)が実施され、空港内のスペース又は検疫所長が指定した施設等で、結果が判明するまでの間待機いただくこととなります(現在流行地域の拡大に伴い、検査対象となる方が増加しており、空港等において、到着から入国まで数時間、結果判明まで1〜3時間程度待機(再検査等の場合は2日程度要する場合もあります。)いただく状況が続いています。御帰国を検討される場合には、上記のような空港の混雑状況や待機時間について十分御留意いただくようお願いいたします。また、今回の検疫強化によりすべての航空便が直ちに運休するわけではありませんので、航空便の運航状況についてご利用予定の航空会社のウェブサイト等でご確認の上、適切な時期をご検討ください)。
※2:代替可能な検査手法が確立した場合は、その方法で実施される場合もあります。
(3)検査結果が陽性の場合、医療機関への入院又は宿泊施設等での療養となります。
(4)検査結果が陰性の場合も、入国から14日間は、御自宅や御自身で確保された宿泊施設等(※3)で不要不急の外出を避け、待機することが要請されるとともに、保健所等による健康確認の対象となります。
※3:自宅等への移動は公共交通機関(鉄道、バス、タクシー、航空機(国内線)、旅客船等)を使用せずに移動できることが条件となりますので、事前に御家族や御勤めの会社等による送迎、御自身でレンタカーを手配するなどの移動手段の確保を行ってください。
(5)上記の検査等は、検疫法に基づき実施するものであり、検疫官の指示に従っていただけない場合には、罰則の対象となる場合があります。

(以上「海外安全ホームページ」より)

日本の出国条件

では、日本からの出国についてはどうか。
2020年8月26日に発行された、「各国に対する感染症危険情報の発出」によると、英国は「渡航はやめてください(レベル3)」となっている。

日本発着航空便の状況はどうか?
上述にならって英国を例にとると、現在日本〜ロンドン間直行便を運行しているのは日本航空(ブリティッシュエアウェイズは日本航空との共同運行便として)のみ、それも週3便だけだ。また、経由便(KLMオランダ航空やフィンエアーなど)も多少運航しているので、直航便にこだわらなければ選択肢はある。

これらを総合すると、

「英国は日本からの渡航者を”Welcome”なのに、日本から英国へ渡航しては”ダメ”」

ということになる。

海外旅行再開はグローバルスタンダードに倣うべき

英国以外では、例えばフランスも日本を入国制限解除対象国に指定している。しかし、入国後自宅または提供される宿泊施設で、14日間の自主隔離を要請される。これでは、まだまだ気軽な海外旅行でフランスへ、とは言えない。他の欧州内シェンゲン協定国の対応もほぼ同様だ。

海外渡航は、経済の再開にもつながる。そのため、どの国もいち早く出入国の門戸を開くべく、世界各国で徹底した検査が新型コロナウイルス対策につながるとみている。WHOも、すでに3月から「Test, test, test!」と言ってきた。
英国では、90分で検査結果がわかる新たな検査方法を発表した。これにより、向こう数ヶ月で580万回の検査を行えるようになるという。だから、水際対策も緩和できるのであろう。 このように、出入国制限の緩和には、徹底した検査体勢が必須ということになる。

一方、日本はどうか?

各国のPCR検査の数は、日本とは桁違いだ。TVから聞こえてくるのは、依然としたPCR検査数の少なさばかり。各国が上記のような対応であるにもかかわらず、日本では保健所の対応が追いつかないからとか、感染者の保護のための施設が足りないといったことを理由に、一向に検査数が増えない。これでは、例に挙げた英国からの渡航者は、日本がまだ安全な国ではないと認識し、訪れることができない状態にあるわけだ。
英国が渡航しても安心な国になりつつある一方で、日本は海外からの渡航者を迎える体制は一向にできていないのである。

2021年に延期されたオリンピック・パラリンピックを是非とも開催したいのであれば、グローバルスタンダードに倣って、徹底した検査体制を整えるべきではないのかとも感じる。

何のためのGOTOトラベルキャンペーンか?

このことを鑑みると、冒頭で触れたGOTOトラベルキャンペーンは、まるで「ピントがズレている」ということになる。国の予算を投入すべきは、事務局の経費や旅館、お土産屋、食事処への補填ではなく、ひたすら検査に投じるべきである。これが落ち込んだ日本経済の底上げにつながる、真の「GOTOトラベルキャンペーン」ではないか?

当社に限らず、いつまでも業務が再開できない海外旅行専門の旅行会社も、きっとそう思っているに違いない。そして、このキャンペーンに関わっている一部の大手旅行会社と旅行業協会も、目的を誤ったままではなく、各省庁への突き上げの方に尽力すべきではないか。
しびれを切らした各自治体・団体は、以下のような独自の取り組みも検討し始めている。だが、このような措置は、本来国が率先して行うべきものである。

国内旅行はもちろんなのだが、海外旅行も訪日旅行も、目指すべきは早期再開だ。そして、そのためには検査を増やすしかないということは、誰もがわかっていることなのに、ピントがズレていることに目をつぶってしまっている状態がもどかしい。

『注意』
リンクが貼られている各機関からの筆記以外は、専門的見地は伴っていない。あくまで、海外旅行再開を希望する筆者の持論によるものであることをご理解いただきたい。

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