ガールムのパスタ「ヴェルミチェッリ・アッラ・コラトゥーラ」 – 行かなきゃ食べられない!絶品グルメ

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どんなにトライしても家庭では再現できない「味」がある。

例えば誰もが大好きなあのフライドチキン、レシピサイトではあれこれ再現しようとしているが、お店で(またはテイクアウトで)食べる味には敵わない。同様に、その店でしか出せない「味」があるから、人はレストランにわざわざ足を運んで食事をするのだ。それが海外なら、そのレストランに行くこと自体が旅の目的になる。

筆者自身にとって旅の目的になったメニューは、イタリア、チェターラのレストラン「サン・ピエトロ」のガールムのパスタ、「ヴェルミチェッリ・アッラ・コラトゥーラ」だ。

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そもそも「ガールム」とは?

一言でいえばイタリアの魚醤である。レストランではこれをColatura di Alici(カタクチイワシの濾過物)と呼んでいて、日本の魚醤やタイのナンプラーと製法が似ている。ガールムの語源は古代ギリシャのようだが、はっきりとしていない。

そしてこの魚醤を使ったパスタがガールムのパスタだ。店のメニューにはVermicelli con colatura di aliciと書いてあるが、スタッフは「ヴェルミチェッリ・アッラ・コラトゥーラ」と紹介してくれた。

ガールム Colatura di Alici
ガールム、Colatura di Alici

その名前を初めて聞いたのはおそらく20年以上前、テレビでイタリアの小さな漁村の紹介をしていた時。漁村の小さなレストランを紹介するときに聞いたのが、この魚醤を使ったパスタだった。もともとタイ料理が好きなのでナンプラーの味はわかるが、それを使ったパスタはどんな味がするのだろう?ととても興味があった。インターネットがそれほど普及している頃ではないため、いつも興味があることを書きとめていた手帳にガールムという名前と、その小さな漁村、チェターラという名前だけを書いておいた。

その後仕事で何度かイタリアに行く機会はあったがチェターラに立ち寄る機会はなく、そのうち手帳に書き留めておいた名前さえ忘れかけていた。そして仕事でイタリア視察を計画した時にふとこの漁村の名前を思い出し、視察のあいまに訪れてみようと思いたった。

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サン・ピエトロ

サン・ピエトロ

今はインターネットで名前を検索すれば、あれこれ情報を入手できる。この小さな漁村、チェターラはカンパーニア州サレルノからポジターノまでのアマルフィ海岸沿いにある。かなり強引な日程を組み、アマルフィ滞在中にチェターラを訪れることにした。

レストランのウェブサイトはイタリア語のみ。きっと英語は通じないのだろうと思い、確実に予約するためわざわざ滞在していたホテルから予約の電話を入れてもらった。そしていざチェターラへ。アマルフィの中心から出ているサレルノ行きのバスに乗り約40分、チェターラに着いた。サン・ピエトロはバス停の目の前だ。まだ予約した時間には早いので、チェターラを一回りしようと歩き始めた。港までは徒歩で5分ほど、本当に小さな村だ。防波堤からチェターラを望む写真を撮ってみた。ちょうど夏で海水浴に訪れた人たちで海岸はにぎわっていた。

チェターラ

そして予約した時間ちょうどくらいに再びレストランに到着。名前を告げると外側のテラス席に案内してくれた。海からの風が心地いい席だ。
どうやら英語が話せるスタッフがついてくれたようで、自分たちがガールムのパスタをメインにここを訪れた旨を伝えると、上述の通り、パスタとガールムの正式な名前を教えてくれ、テーブルにガールムの入った小瓶を持ってきてくれた。

「まず、この味を試してごらん」といって、皿にガールムと少量のオリーブオイルを入れ、フォークで器用にそれを乳化させた。そしてパンにつけて食べてみろという。言われるまま一口、「これがガールムの味か!」と納得。それをつまみに白ワインを飲んでいると、お目当てのパスタが運ばれてきた。

初めて名前を聞いてからおよそ20年、やっとこのパスタを食べられる時が来たのだ。その味は・・・、言葉で語るに難し、である。どうしても味を確かめたい人はチェターラを訪れるしか方法がない。

サン・ピエトロはチェターラや近郊の漁港で水揚げされた魚を食材に使うシーフードがメインのレストラン。店内にその日水揚げされた新鮮な魚をワゴンの上に並べてあり、好きな魚を好きな調理法で出してくれるそうだ。さっそくそのワゴンを除きに行き、今日はどれがお勧めか聞いてみた。すると日本でもおなじみのサバがいいというので、これまたお勧めの調理法、レモンソースで頂くことにした。

サン・ピエトロ2
サン・ピエトロ3

食後はコーヒーではなくこの地方の食後酒、レモンチェッリでしめるのがいい。

筆者にとって旅の目的となったメニューはガールムのパスタだったが、こんなメニューに出会えた人はきっと幸せだ。そしてまだの人は自分自身の旅の目的となるメニューを見つけてほしい。テレビやネットで見つけたものでもいい、それを想像するだけでなく自身の足で訪ねることが大事だと思う。そのために旅があるのだ。

チェターラを訪れる旅行はパッケージツアーにはないだろう、オーダーメイドで旅を計画するならフライトへ。

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