いざ出発、トラブル対応も添乗業務の基本
2024年9月の出発当日、早朝羽田空港にて待ち合わせ。
お孫さんとは旅行説明時にお会いしていないため、今回初めてお会いすることになります。
前日にウェブサイトにて確認したプレミアムエコノミークラスのお座席が離れていたので、空港カウンターにて席を隣り合わせになるよう交渉します。
途中途中でお話ししながら、
- お祖母様は、初海外旅行のお孫さんが満足する旅行にしたいということ
- お孫さんも、行きたいところや店(ショッピング)がそれぞれの都市にあること
というご希望をお伺いしましたので、必要な情報はスマホにどんどん入力しておきます。特に、お孫さんが行きたいという店はグーグルマップ上に保存しておき、移動の順番を考慮するため、ホテルや観光箇所とのロケーションを確認しておきます。
しかし、旅にトラブルはつきもの。
乗り継ぎのパリ、シャルル・ド・ゴール空港までは順調でした。ところが、その先の便の出発が遅れ、ミラノ・リナーテ空港へは予定より1時間以上遅れての到着となりました。
空港からホテルまでは、事前に送迎の車を手配してあり、手配会社には添乗員の携帯の番号も伝えてあります。
航空機が空港に到着し、これから到着ロビーに出ようとしたところ、携帯にドライバーから電話があったので、「遅れたが到着したので、予定通り待っていて欲しい」旨を伝えました。
しかし、さらに不運は続きます。
手荷物受け取りのターンテーブルで、よりによって添乗員の荷物がなかなか出て来ません。その間にもドライバーから何度か電話がありましたので、状況を伝えてそのまま待っていて欲しいと伝えました。
やっと全員の荷物が揃い、到着ロビーに出て待ち合わせ場所に向かうと、なぜかドライバーがいません。
かかって来た電話番号に折り返し電話すると、今までは英語での応答だったにも関わらず急にイタリア語で応答し、すぐに切ってしまいます。何度電話しても状況は変わらず、結局ドライバーは見つからずじまい。
これ以上お客様を待たせるわけにはいかないので、ドライバーを探すことを諦め、タクシーに切り替えました。
旅行中もPC持参でしたので、後日手配会社にクレームを入れたところ、規定の到着予定時刻から75分までは待っていたが、それ以上は待つ義務はないので帰ったとのこと。
日本では考えられないことですが、海外では債務履行に関して契約通りにしか対応しないということです。
ともあれ、無事ミラノのホテルに到着し、お客様もこの対応については特に不満はなかったようで、なんとか初日終了です。
トラブルが発生した時、それを可能な限り予定した日程通りに戻すよう管理することは、添乗員の基本業務です。
添乗員というよりコーディネーター
今までお祖母様は添乗員付きのツアーしか参加したことがなく、また、お孫さんは今回が初海外旅行。そして、お二人とも英語はほぼ話せないということはお伺いしていました。
当社ウェブサイトにも記載の通り、添乗員は観光ガイドや通訳ではなく、旅行の出発から終了まで予定通り、かつ安全に旅程が進むことを管理する旅程管理者です。そして、お客様の自由時間や夜間は添乗業務の範囲外です。
とはいえ、当初から自由時間を含めてゆったりとした日程にすることがご希望でしたので、自由行動中は添乗員が何かと対応します。
例えば、お孫さんのご希望であったショッピングでは、その場その場で店の人との応対を代わって聞いて通訳する場面が多々ありました。
また、距離が遠い、あるいは歩くことに疲れた時には、その都度タクシーを捕まえ、ホテルや行きたい場所の住所をドライバーに伝えて移動することも、今回に限り添乗員の役目です。
現地にて、お孫さんから「フィレンツェのミケランジェロ広場の夕陽がきれいだそうなので見てみたい」と言われ、ホテルからタクシーで往復したり、パリではエッフェル塔のシャンパンフラッシュを見るために、やはりホテルから往復のタクシーを手配しました。
常にスマートフォンから最新の旅行情報をとることができるようになった今ならではですが、これらは見積もり依頼時にはなかった希望で、滞在中に急遽決まったことです。もちろん、追加手配のためタクシー代はお客様がお支払いいただきます。
ここまで対応すると、添乗員というよりは現地コーディネーターといったところかもしれません。
お客様の趣向や量にあわせた食事アレンジ
前述の通り、この旅行の最大のミッションは、毎日臨機応変に食事を手配すること。
お祖母様が少食ということはお伺いしていましたので、レストランで3コースを人数分オーダーしていたら、とてもではありませんが食べきれません。
初日のミラノ観光では依頼にあったガレリア・レストランでの食事が、また9日目のパリでは観光内容に昼食が含まれていたため、それぞれ人数分出されましたが、案の定完食はできませんでした。
星付きのたいそうなレストランでは、人数分をコースでオーダーしなければお店に対して失礼になりかねません。
地元の人たちが食べるような気軽な食事と、ちょっとしたお酒でゆったりと食事したいお祖母様と、肉料理やカフェのスイーツがお好きなお孫さんの希望を取り込み、旅行中に見つけて手配したお店や内容を列挙します。
ウェブサイトがあるお店はリンクを貼っておきますので、気になる方はチェックしてみてください。
夜遅く到着したため、食事はなし。
昼食は観光ツアーに含まれるガレリア・レストラン。
昼の食事がボリュームたっぷりだったので、夜は駅に直結したメルカートにて、ちょっとしたお酒のつまみ程度(シーフードマリネとランプレドット)。
ミラノ発ヴェネチア行きの列車乗車前にメルカートでサンドイッチを購入し、ヴェネチアのホテル到着後テラスにてのんびりと昼食。
夕食はヴェネチアの名物、バーカロ「Cantina do Spade」で、イカ墨のパスタやシーフードラグーソースのニョッキ、サラダにイワシのマリネ、バッカロとポレンタを3人でシェア。
ヴェネチアから列車にてフィレンツェ移動・到着後、レッパブリカ広場に面したお孫さんご指定のCaffè Gilliにてスイーツ。
夕食は、せっかくホテルにレストランがあるので試してみようと、宿泊した4つ星ホテルHotel Albani Firenzeのレストランでブルスケッタ、ラグーソースの生パスタ、牛肉のタリアータを3人でシェア。食後のデザートは個々にオーダー。
ショッピングと散策でお疲れのため、昼食は抜きでお昼寝タイム。添乗員は個別に食事。
夕食はホテルおすすめのレストランTrattoria Braciere Malatestaで、トリュフと卵の前菜(非常に好評)、ピスタチオのニョッキ、生ハムとキノコのピザを3人でシェア。
昼食は時間があまりなかったため、ヴァチカン観光前にガイドが案内したサンドイッチ屋で購入のサンドイッチ。
夕食はホテル近くの中華料理屋Restaurant Chinese Huaweiju(ウェブサイトなし)で、中華(炒飯、餃子、焼きそば、クラゲの冷製など)を3人でシェア。
ちょうど醤油やお米の味が恋しくなる頃、みんなかなり食べました。
昼食はお孫さんご指定のCiampiniのビストロにて、カチョ・エ・ペペ(パスタ)とマルゲリータ・ピザを3人でシェア。
夕食はミラノ、ヴェネチアにもあったメルカートにて食べたいものを食べたい分だけチョイス。
昼食は、ローマ空港・ターミナル1内の日系ブラジルレストランTemakinhoで、タコスと寿司(巻き寿司)、野菜とマグロ・サーモンのどんぶりを3人でシェア。
パリ到着後の夕食は、ホテルおすすめのレストランが予約でいっぱいだったので、少し歩いた先に見つけたTriadou Haussmannにて、サラダ、オニオンスープ、ステーキ、タルタルステーキを3人でシェア。ここのタルタルステーキは絶品でした。
昼食は、観光に含まれるエッフェル塔のMadame Brasserieにてコース料理(日本人向けの少なめの量とメニューで全員ほぼ完食)。
夕食は、ギャラリーラファイエットの食品館の惣菜が気に入ったようで、そこでお買い物をしてお部屋で食事。添乗員は個別に食事。
昼食はショッピング途中で立ち寄ったMon Crèmeで、ティータイム。添乗員はチーズバーガーをいただきました。
夜は帰国便での機内食。
日程が進み、一緒に毎日食事をするうちに、お客様と添乗員の距離は縮み、和気あいあいと食事をすることができました。
通常の添乗員付きツアーは、お客様と添乗員は別々のテーブル、内容も違ったりするものですが、当社は開業以来、添乗員もお客様と同じテーブルで食事をしてきました。お客様が食べているものの味や量をチェックしたり、テーブルが離れていると、ちょっとした店の人とのやりとりや個人勘定の時にお客様が戸惑ったりすることを防ぐためです。
今回はその場その場で臨機応変に店を決め、あるいはホテルに聞いてお勧めの店を紹介してもらったりと、柔軟にお客様の要求に対応できたと思っています。
「究極のオーダーメイド旅行 – 2名から添乗員付き」プランのまとめ
これはご予算に余裕のあったお客様の事例ですが、全てがこのようなプランではないはずです。
当社では、お客様のご予算にあわせてプランを作成し、この事例のように日本出発から帰国まで、細やかに対応いたします。
コロナ禍以降、航空運賃や宿泊代の高騰により旅行代金が高めであることは致し方ない状況で、2024年現在、ヨーロッパ周遊8日間のオーダーメイド旅行の場合、ひとりあたりの予算は50万円を超えてしまうことも多々あります。
まして、この費用にプラス添乗員代となると、なかなか添乗員付きのオーダーメイド旅行など検討する余裕はないかもしれません。
それでも、周年記念旅行やハネムーンなどの特別な旅行には、検討する価値があるのではないかと思います。
このプランは、基本的にヨーロッパをメインに、日本発着からご依頼いただくご旅行に限ります。現地で合流といったご希望には添えかねますのでご了承ください。
※旅行の様子をビデオに録画してきています。機会があれば、YouTubeにてご紹介したいと思いますので、お楽しみに。
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