フラヴィニー=シュル=オズラン|私が訪れたフランスの最も美しい村々

France

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筆者自身が、添乗員として実際に訪れたフランスの美しい村を紹介する第6回目は、ミディ=ピレネーから少し移動して、ブルゴーニュ地域圏からピックアップしてみる。

最初は、コート=ドール県のフラヴィニー=シュル=オズランだ。

2000年に公開された映画「ショコラ」(出演:ジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ)のロケ地として有名になったが、古くから修道院で作られるアニス・キャンディーのほうが知られているかもしれない。

不思議な村

フラヴィニー=シュル=オズランの歴史は紀元52年にさかのぼり、実に2000年近く、この地にあり続けている。

かつては、ジュリアス・シーザー率いるローマ帝国軍が攻め込んできたこともあるようだ。

そんな村を2度訪れているが、いずれも天候が良くなかった。

訪れる前日までは他の村で快晴であったのに、この村を訪れる日になると朝から曇天の空、着いたときには土砂降りというくらいの雨が降った。

そうかと思うと、さっきまでのどしゃ降りが嘘のように青空が広がったりする。

まるで、誰かが天気を自在に変えているかのようだ。

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さっそくブール門から入ってみる。

やはり村の中心は教会だ。

尖塔が際立つのは、サン・ジェネスト教会。雨に濡れて、鱗瓦が黒光りしている。

この教会の斜向かいには、映画でチョコレート店として使用された建物があるが、あいにくそこは撮影していない。

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サン・ジェネストへ向かう手前で、左に折れて道なりに進むと、黒服に身を包んだ修道士たちが歩いていた。

この奥にあるのが、現在はアニス工場が入っている、719年に建てられたサン=ピエール大修道院。

日本でいえば、平城京の時代だ。

さらにその奥には、堅牢なヴァル門があり、村のはずれになる。

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この村に到着したばかりの午前中は曇天で、大修道院へと続く道も暗く、気味が悪いくらいだったのが、突然陽が差してきたら明るい、フランスらしい家並みに変わった。

そして、一瞬でまた薄暗くなってしまった。

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天気のことだけなのだが、このめまぐるしさは何とも不思議な村だ。

カフェ兼レストラン兼ホテル

人口わずか300人程度のこんな小さな村にも、宿泊施設やレストランがいくつかある。

しかし、訪れた時見つけられたのは、この「Le Relais de Flavigny」1軒のみ。

なにしろ天気が悪く、修道士以外の村人と出会うことがなかったので、良いレストランもしくはカフェを聞くことすら出来ない。

サン=ピエールへ向かう道の曲がり角に、唯一見つけられたのがこの店だった。

「昼飯に」と、さっそく入ってみた。

すると、壁に貼られた、映画のロケをしたことを記事にした地元新聞と、映画のポスターが目に飛び込んできた。

村人たちには自慢のものなのだろう。

店主はフランス語しか話せないようで、しきりにこのポスターと新聞を指さして、ニコニコしていた。

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ゆっくりと食事をし、食後のコーヒーまでお世話になった。

名前の通り、B&Bとして営業もしているようだった。

アニス・キャンディーの店

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フラヴィニーで唯一の名産品ともいえる、修道院で作っているアニス・キャンディーの店。

ツアー参加者は、「これがいいお土産になる」と、いくつも買っていた。

けれども、帰りのシャルル・ド・ゴールで、ショップの店頭に山のように積まれていたおなじみの缶を見た時、みんなはどう感じただろう。

それでも、フラヴィニーで買ったアニス・キャンディーの缶は、特別なのかもしれない。

小さな缶はアクセサリー入れにもなって、いつまでも思い出を残しておけそうだ。

さて、こんな曇天や土砂降りの雨の中訪れたフラヴィニー=シュル=オズランは、美しい村だっただろうか?

単に登録されているからという理由を除いても、雨に濡れた教会をはじめ、この村は確かに美しかった。

めまぐるしく変わる天候の中で、それぞれの表情を見せてくれる家並みや教会や門、そして修道院たち、それはブルゴーニュの他の村とは異質の世界だ。

映画の舞台の村に来たというよりは、想像上の村、もしくはおとぎの国に迷い込んだ、といったほうが良いかもしれない。

そのほうがしっくりくる、そんな印象を受ける村だ。

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