オートワール|私が訪れたフランスの最も美しい村々

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オートワール1

筆者自身が添乗員として実際に訪れた、フランスの美しい村を紹介する第2回目は、ミディ=ピレネー地域圏、ロット県のオートワールだ。

ここも訪れたのは2回、いずれもコロンジュ=ラ=ルージュとともに、ロカマドゥールからの日帰りで訪れているため、この2つの村は自身にとってセットで記憶されている。

しかし、2つとも特徴は顕著で、コロンジュ=ラ=ルージュが赤煉瓦の村であるなら、オートワールはフランスの原風景ともいうべき村だろう。

おそらく、誰もが「フランスの田舎」といわれて思い浮かべるような風景が広がる村、それがオートワールだ。

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オートワールは「小さなヴェルサイユ」

オートワールは、かつて田舎の保養地だった。そのため、「小さなヴェルサイユ(Petit Versailles)」と呼ばれていた。

切り立った石灰岩の崖に囲まれた谷の中に、オートワールはある。その石灰岩の白灰色と対比する長閑な緑の谷は、まさにフランスの原風景だ。

村の中心には、15世紀のリマルグ城(下画像上)や、17世紀の顕著な建築様式である、三角屋根に出窓があるラロック・デルプラ邸(下画像下)など、かつての保養地だった痕跡が残されている。

オートワール2

オートワール3

近くには「オートワールの滝」があり、近くまで行ったものの、残念ながら2回ともそこまで足を伸ばさなかった(下画像はその手前)。だが、この一帯こそフランスの原風景をよく表している。

オートワール4

オートワール5

人ひとり見かけないのどかな村

オートワール7

村の中心を除けば、オートワールは殆どの家が谷の斜面に点在して建てられ、牧歌的風景を作っている。

この地方によく見られる鳩小屋を、各家の円柱型や箱形の塔の上に配してあり、それがひとつひとつ小さな城のように見える。

屋根瓦は、おそらくコロンジュ=ラ=ルージュと同じ土で作られているであろう赤黒い瓦、そして壁は木組みの間を石で埋める、フランスで良く見る造りだ。

朝一番でオートワールに到着し、バスを降りると、初秋のひんやりとした朝の空気に包まれた村では、人ひとり見かけない。そういえば、最初に訪れた時も、ほとんど村人を見かけなかった。

例によって、南北に走る唯一の大通りを、村の中心へと進む。

オートワール6

すると、見事な時計塔が現れ、その前に噴水があるちょっとした広場に出た。

ここが村の中心だ。

広場にある噴水には花が飾られ、それを4体のイルカの像が囲んでいる。その噴水の後方に見える、時計塔を持つ建物は、村唯一の大きな教会、サン=ピエール教会だ。

最初に訪れた時に食事をした、アウトドア・テラス形式のレストランはなかった。代わりに、広場と大通りに面した、カフェ兼レストランのような店が1軒あった。

この広場を中心に歩き回ってみる。

北側は、石灰岩が切り立った崖の手前の緑の斜面に、上述の通り、ぽつんぽつんと民家が点在している。

そして、大通りと並行して、オートワール川(川といっても水量の少ない用水路のようなものだ)が流れている。

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村に1軒しかないカフェ兼レストラン

朝一番だったからなのか、とても静かで、およそ人が住んでいる村のようには思えない。

ところが、村を一回りしているうち、いつの間にかカフェ兼レストランはオープンしており、どこから来たのか、2~3人の観光客らしき人がコーヒーを飲んでいる。

こんな静かな村だから、昼食をとるのは無理かと思ってあきらめていたが、どうやらそれは免れたようだ。

このカフェ兼レストランは、オーベルジュでもあった。団体で宿泊するのは無理そうだが(全部で9部屋)、個人で訪れる際には良い宿泊施設のようだ。

とはいっても、車がなければオートワールを訪れることは難しい。なにしろ、バスも通っていないのだから。

一体、ここの住民は、普段どのような生活をしているのだろう。

何らかの事情で、車の運転が出来ない人だっているだろうと思うと、この村のロケーションはとても不便だ。

そして、筆者自身のように、昼でもワインを飲みたい人はどうするのか?

さっそく、お互いすることがないドライバーとともに、ランチを取った。

残念ながら、今では何を食べたか思い出せないが、村にたった1軒しかないことを考えると、昼食を食べられただけでも、とても有難いと思ったことは覚えている。

食後は、カフェとしても利用させてもらった。

オートワール8

午後になると、やはりどこからか、観光客が少しずつ現れては、大通りを通り過ぎてゆく。中には、サン=ピエール教会に入っていく人もいる。

バスも通っていない不便なロケーションに加え、観光要素というべきものはこの教会と噴水くらいだ。

けれども観光客は訪れる。

これが、「フランスの最も美しい村々」に登録されている証なのだろう。

遺していくべきフランスの原風景ともいえるオートワールは、その存在自体が美しい。

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