筆者自身が添乗員として実際に訪れた、フランスの美しい村を紹介する第7回目は、ラングドック=ルシヨン=ミディ=ピレネーの北部、アヴェロン県に位置するナジャックだ。
鉄道を利用していくことが出来る美しい村が少ない中、このナジャックへは鉄道を利用して訪れることが出来る。
山の稜線に沿って家並みが続き、「ラウズ」という黒光りする瓦屋根が、まるで恐竜の背のように連なっている、その光景の美しさがナジャックの最大の魅力だ。
勾配のきつい村
以前、このブログで紹介したイタリアの美しい村のひとつ、アンギアーリもそうだったが、ナジャックはとても勾配がきつい村だ。
バスは村の東側に到着し、13世紀からある噴水がある広場へと進む。
そこから向こう側に見えるナジャック城までは、急な下り坂を下った後、城の手前から急な上り坂になっているのがわかる。
ちょっとお年を召した人では、このアップダウンはかなりつらいだろう。
しかし、そこに住んでいる人は若い人もお年寄りもみんな、それが当たり前であるかのようにこのアップダウンの道を歩いている。
せっかくなので、道に沿ってこのアップダウンを楽しんでみよう。
噴水広場の右手には、この村唯一のホテル&レストランがある。フランスらしい石を積み上げた造りの建物だ。
町並みを形成している民家も、同じ作りが続く。
ナジャック城までは、ほぼ1本道のメインストリートが続く。
ちょうど谷底と思われる地点まで来ると小さな広場があり、ちょうど良い休憩所になっている。ところどころ小さなレストランやカフェがあるのは、どの村とも変わらない。
この広場を過ぎると、ナジャック城までは登り坂が続く。
途中、六角形の鐘楼がある教会に出会った。13世紀に建てられたサン・ジャン教会だ。
細い路地にひっそりと佇むその姿は、ここまでの勾配のきつさを一瞬忘れさせてくれる。
あともう少しでナジャック城だ。
ナジャック城
城の手前、最後の勾配が最もきつかったが、やっとで城に到着。
すでに、見張り塔以外は崩れ落ちてしまっているこの城は、12~13世紀に建てられたもの。
見張り塔以外は、外壁がわずかに残るのみだ。その見張り塔は、資料館になっていて、かつてのナジャック城の完全な姿の模型が展示されている。
そこから、城の見晴らし台と呼べそうなテラスに出てみた。
そして、ここから眺める家並みが、ナジャックが美しい村たる所以の光景だ。
三角の屋根が山の稜線に沿って連なり、確かに恐竜の背のように見える。これを見たら、ここまでのアップダウンでの疲れなど、吹き飛んでしまった。
とはいえ、再度このアップダウンを通らなければ、昼ごはんにと予定していた、ホテル&レストランまで戻ることが出来ない。
ここで生活するということは、厳しい自然条件を受け入れるということなのだろう。
観光客だから、一時の厳しさを感じるだけで済むが、住んでいる人達は厳しいと思っていたら、とてもいられない。
美しい村は、同時に自然を受け入れ、共有してそこに生活することそのもののような気がしてきた。
その他の画像は、ウェブサイト「フライト・フォト・ギャラリー フランス2」を、またナジャックへの鉄道旅行プランは下記もあわせてご覧いただきたい。
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