当社は、ホームページ立ち上げ以来、富士通クラウドテクノロジーズ(以下富士通CT)の「ニフクラ レンタルサーバー」を利用しています。
先日、その富士通CTさんから、2024年3月31日をもってレンタルサーバーサービスを終了するとの連絡が来ました。
当社にとって、これは一大事です。
ホームページのサーバーはもちろん、メールサーバー、独自ドメイン、SSL証明書など、すべて一括してお願いしています。電話での問い合わせもホームページ経由に一本化しているため、当社とユーザーとの連絡網も途絶えかねません。
しかし、これまでにサーバー移転などしたこともなく、また個人ブログならともかく、小さいながらも企業ホームページのサーバー移転です。慎重に行わなければなりません。
まずは、サーバーを移転するための手順や費用はどのようなものか、調べてみました。
「ニフクラ レンタルサーバー」導入の経緯
会社開業時、費用を抑えるため、個人でアカウントを持っていたプロバイダー「@nifty」を会社のプロバイダーとして選定しました。その後、ホームページを立ち上げる際、「@nifty」が提供していたホームページ作成サービス「@homepage」を使い、IT知識に乏しい自分たちでもホームページを立ち上げることができたのです。
ちなみに当社ウェブサイトは、最初から一貫して、専門会社に頼ることなく、すべて自分たちで構築し運営しています。
しかし、この頃利用していた「@homepage」は、企業のホームページ作成サービスとしてはクオリティが下がります。
そこで、同じ「@nifty」で、より企業のホームページに相応しいサービスを探し、そのためアカウントを個人から法人へ移行しました。
その頃、企業向けウェブ総合管理としてできたのが「ニフティクラウド(ニフクラ)」です。ウェブ機能の管理はもちろん、独自ドメイン取得、独自ドメインによるメール機能、ウェブサイトのSSL証明書取得サービスなど、当社のような中小企業が使いたいと思うウェブサービスがすべて揃っていました。
コントロールパネルは、自分たちのような素人でもわかりやすく、またサポート面も充実しています。
ところで、「ニフティ」という会社名の由来ですが、ウィキペディアによると、日商岩井(現:双日)と富士通の折半出資により誕生した株式会社エヌ・アイ・エフから始まったことによります。それぞれの頭文字をとったわけですね。その後、社名をニフティ株式会社とし、1999年には富士通の完全子会社となったのですが、2017年、クラウド事業専門の富士通クラウドテクノロジーズと、コンシューマー向け事業のニフティに分社化しました。
当社の場合、プロバイダーは「@nifty」のまま、ウェブ管理サービスは自動的に富士通CTに移管されました。つまり、利用していたプロバイダーのサービスの一環として利用していたウェブ管理サービスが、選択することなく自動的に富士通CTに移管された、というのが導入の経緯です。
「ニフクラ レンタルサーバー」は、主に法人向けのサービスです。レンタルサーバーシェアとしては低いですが、親会社富士通グループの技術が結集した法人向けサーバーとして、高い評価を得ているようです。
結果論ではありますが、当社のような小さな会社でも安心してウェブサイトを構築でき、セキュリティや独自ドメイン取得のお手伝いなど、結構使い勝手が良いレンタルサーバーサービスでした。
それだけに、突然のサービス終了は非常に残念です。シェアが低いとはいえ、当社のような経緯で「ニフクラ レンタルサーバー」を利用していた企業も多いことでしょう。
レンタルサーバー移転先候補のサービスと費用
富士通CTが発表した「ニフクラ レンタルサーバー終了のお知らせ」によると、利用していたすべてのウェブ管理サービスが上述の期限をもって終了するとし、期限以降はすべてのデータを削除するとの内容です。
移行先他社サービスのご紹介として、
- さくらインターネット株式会社
- 株式会社ディーネット
の2社の案内がありました。
当ブログや個人ブログを運営している筆者は、「さくらインターネット」のレンタルサーバーサービスは、よく聞く名前です。一方、株式会社ディーネットは、正直会社名を聞いたことがありませんでした。
どちらも、「富士通グループが紹介」するという、安心感のある会社なのでしょう。
さらに、移行支援のための会社も数社、紹介がありました。開業以来、当社は「自分たちでできることは自分たちで」を貫いていますので、レンタルサーバーはサービス会社に依頼するものの、移行手続きは極力自分たちで行うとします。
ホームページの移行支援は、どの会社も10,000〜20,000円程度ですが、自分たちでできるなら、このコストはかかりません。
そして、これを機会にレンタルサーバーサービスを改めて調べ、当社にあった会社を選定したいと思います。現状の候補は、
- Xserver Business
- さくらのレンタルサーバー
- カゴヤのレンタルサーバー
- ロリポップ・レンタルサーバー
の4社です。これ以外にも様々あるのですが、まだ調査に至っていません。もし、この4社以上に当社のニーズとコスト面で合致する会社があれば、今後候補に加えたいと思います。
では、4社の概要・サービス・費用を詳しくみてみましょう。
ただし、上述の通り当社スタッフは初歩的なウェブ制作の知識はありますが、よりつっこんだIT知識はございません。自分たちのわかる範囲での比較ですので、ご容赦ください。
また、当社ウェブサイトは、WordPressをはじめとするCMSの基本構文PHPやMySQLといったデータベースを利用することはなく、HTML+CSSの静的サイトのため、この件については比較の対象外としました。
終了予定の「ニフクラ レンタルサーバー」の機能一覧とも比較してみます。
Xserver Business
国内レンタルサーバーシェアNo.1の実績と信頼性のある独立系(親会社のない)会社。2003年の創業以来、レンタルサーバー事業を行っています。
ホームページにて「追加料金なし!ビジネスに必要なものはすべて標準完備」と謳っている通り、契約すれば富士通CTなみのサービスが、追加費用を支払うことなく利用できます。
候補となるプランは「スタンダードプラン」、月額3,762円(36ヶ月契約の一月あたり)で、以下が含まれています。
- 初期費用:16,500円(キャンペーンあり)
- ディスクスペース(SSD):300GB
- 無料独自SSL証明書
- 独自ドメイン利用
- Web改ざん通知
- メールアカウント:無制限
- SLA品質保証
- セコムセキュリティ診断
- サーバー移転代行
特筆すべきは、下3つのセキュリティ対策およびサポートサービスでしょう。特に、移転を検討している当社のような会社にとって、通常別途費用がかかるサーバー移転代行が、料金に含まれていることです。
その他の機能については、同社の「機能一覧」をご覧ください。
さくらのレンタルサーバー
Xserver同様、独立系のホスティングサーバー事業を行う会社で、創業1996年。
認知度も高く、コストパフォーマンスの良さで定評があります。法人利用のほか、個人利用も多いのは、価格設定の安さではないでしょうか?
候補となるプランは「プレミアム」、月額900円(36ヶ月契約の一月あたり)、または「ビジネス」、月額2,122円(36ヶ月契約の一月あたり)。
ディスクスペースなど容量の違い以外の2つのプランの違いは、
- Webフォントの制限(プレミアムは月間7.5万PVまで、ビジネスは無制限)
- 複数ユーザー管理の有無
くらいで、それ以外のサービスの変わりはほとんどありません。プレミアム、ビジネスの主な内容は以下の通り。
- 初期費用:無料
- ディスクスペース(SSD):プレミアム:400GB、ビジネス:600GB
- 無料独自SSL証明書
- 独自ドメイン利用
- Web改ざん検知:有料
- メールアカウント:無制限
- 1メールアカウントあたりの容量:プレミアム:40GB、ビジネス:60GB
なんと言っても、月額費用がかなりリーズナブルです。
サービスについては、Xserverでは料金に含まれているWeb改ざん検知サービスが有料オプション。その代わりと言ってはなんですが、初期費用は無料です。富士通CTでは、ドメイン管理費がオプションでしたので、Web改ざん検知サービスもそのようなものでしょうか?詳しくは、見積もってみないどわかりません。
また、Xserverにあるようなセキュリティサービスは、どのプランにもありません。ECサイトや会員制サイトならともかく、一般的なウェブサイトなら問題ないと想定します。
さくらのレンタルサーバー独自の機能としては、「コンテンツブーストCDN機能」。主に動的サイト(WordPressなど)の高速化の機能で、表示速度アップが見込めます。プレミアム以上は無料、スタンダードなどは有料オプションとなります。
その他の機能については、同社の「機能一覧」をご覧ください。
カゴヤのレンタルサーバー
茶摘籠の販売から始まり、その後LPガス供給事業、そしてホスティングサーバー事業へ転換したという、異色の会社です。ホスティングサービス事業は約20年、法人利用率の高いレンタルサーバーです。
候補となるプランは「共用サーバーおすすめプラン(S22)」、月額1,760円(12ヶ月契約の一月あたり)で、以下が含まれます。
- 初期費用:3,300円
- ディスクスペース(SSD):200GB(10GBごと月220円にて追加可能)
- 無料独自SSL証明書
- 独自ドメイン利用
- メールアカウント:50アカウントまで無料
- 1メールアカウントあたりの容量:100GB
Xserver、さくらのレンタルサーバー(有料)にあるWeb改ざん検知機能がないのは、問題ないものでしょうか?
どのサーバーも、WAF(ウェブアプリケーションファイヤーウォール)は標準装備ですので問題ないのかもしれませんが、この辺のセキュリティ対策はもう少し詳しく調べたほうが良さそうです。
その他の機能については、同社の「機能一覧」をご覧ください。
ロリポップ・レンタルサーバー
ロリポップは、GMOインターネットの子会社のGMOペパボ株式会社が、2001年より運営するレンタルサーバーです。
どちらかというと個人ブログでの利用率が高いイメージですが、法人利用も多く、法人向けマネージド専用サーバーも提供しています。
候補となるプランは「エンタープライズ」、月額2,200円(36ヶ月契約の一月あたり)で、以下が含まれます。
- 初期費用:無料
- ディスクスペース(SSD):1.2TB(ファイル、メール、データベース容量の合計)
- 無料独自SSL証明書
- 独自ドメイン利用
- Web改ざん検知
- メールアカウント:独自ドメインのアカウントは無制限
- 1メールアカウントあたりの容量:20GB
このブログは、ロリポップのレンタルサーバー「ベーシックプラン(月額1,430円)」を利用していて、使い勝手もよくわかっています。当社ウェブサイトもベーシックプランで十分そうにも思えますが、法人ウェブサイトということで、1ランク上の「エンタープライズ」を検討しようと考えています。
イメージとしては、Xserverとさくらのインターネットの中間というサービス内容でしょうか?
WordPressを利用する方や法人にとっては、表示スピードがXserverと比べて遅いという口コミもあるようですが、当社のような静的サイトでは特に問題はないように思えます。
その他の機能については、同社の「ご利用料金」をご覧ください。
まとめ
現時点では、どのレンタルサーバーにするかは決めていません。もう少し、他のレンタルサーバーも調べたいですし、候補とした各会社についても、調べてみようと思います。
上記に挙げた各会社は、いずれも共用レンタルサーバー(1台のサーバーを複数で利用)ですので、他のサイトやシステムによる影響を受けやすいというデメリットがあります。
しかしながら、このことは今まで利用していた富士通CTでも同じこと。今まで、他のサイトにアクセスが集中してサーバーに大きな負荷がかかったという経験はありません。ここで候補とした各レンタルサーバーも、その点は十分考慮して運営していることでしょう。
レンタルサーバーであるデメリットは、富士通CTのように突然サービスを終了するという危険性もあることです。各機能だけではなく、その会社が今後も長期にわたってサーバー事業を続けられるかどうか、あるいは企業の業績なども選択のポイントとなります。
また、共用サーバーのデメリットによる過大なサーバーへの負荷を考えると、シェアの高い会社もどうか、と心配は尽きません。
この問題は、もう少し調査が必要です。
レンタルサーバー以外の、移転の手順や作業工程についても今後書いていきます。
コメント
弊社も貴社と全く同じ状況です。SAKURAかXかで決めかねています。
私はFFFTPを使って追記修正をしているだけで、WEBに関する知識があるといったわけではないので、非常に不安です。
コメント有難うございます。
その後、当社ではX-Serverに依頼することにしましたが、まだ申し込みをしていません。
今後、申し込みをして無事サーバーを移転したら、改めて記事にしたいと思っています。
はじめてコメントいたします。
ニフクラレンタルサーバー終了に伴い、新移転先の情報収集をしており、
こちらのブログ記事に出会い、大変参考になりました。
小規模団体なので、同じくウェブページも独自に作成、運用して
いますが、移行手続きは初めてで、できるだけ自分達で移行作業を
しようと思いますが、専門的知識が不十分でとても不安です。
いろいろ情報収集してきましたが、Xserver かさくらインターネットの
どちらかに最終決定しようと思っています。
さくらの価格設定か、Xserverの充実した法人対象プラン内容か、
迷うところです。
浅井様、
コメント有難うございます。
ちょうどニフクラからのサーバー移管を行っていたため、お返事が遅れまして申し訳ございません。
当社は、Xserverビジネスにて契約し、無事サーバー移管が完了しました。
価格面ではさくらインターネットでしょうが、安心面を考慮してXserverにした次第です。
移管も完了したので、その手順などを次の記事にしてアップしようと思います。