前回、ヨーロッパ・ハイキング協会が認証するEパスと、リーディング・クオリティ・トレイル – ベスト・オブ・ヨーロッパ(LQT-BE)の概要を取り上げました。
Eパスは長距離トレイルのため、すぐに全ルートを歩くことは困難ですが、LQT-BEは数日で踏破することができる高品質のトレイルルートです。
今回は、全23ルートあるLQT-BEのうち、当社取り扱いのヨーロッパ・ハイキングツアーにて歩くことができるルートを、3回にわたって取り上げます。
1回目は、オーストリアとドイツにまたがるレッヒヴェーク(Lechweg)です。
- レッヒヴェーク(Lechweg)概要
- レッヒヴェーク途中の見どころ
- レッヒヴェークの15のセクション
- セクション1|フォルマリン湖〜レッヒ・アム・アールベルク
- セクション2|レッヒ・アム・アールベルク〜ワース
- セクション3|ワース〜シュテーク
- セクション4|シュテーク〜ホルツガウ
- セクション5|ホルツガウ〜バッハ
- セクション6|バッハ〜エルビゲンアップ
- セクション7|エルビゲンアップ〜ヘーゼルゲーア
- セクション8|ヘーゼルゲーア〜エルメン
- セクション9|エルメン〜フォルダーホルンバッハ
- セクション10|フォルダーホルンバッハ〜シュタンツァッハ
- セクション11|シュタンツァッハ〜フォルハッハ
- セクション12|フォルハッハ〜ヴァイセンバッハ
- セクション13|ヴァイセンバッハ〜ヴェングレ
- セクション14|ヴェングレ〜プフラッハ
- セクション15|プフラッハ〜フュッセン
- レッヒヴェークのハイキングツアー
レッヒヴェーク(Lechweg)概要
レッヒヴェークは、アルプス地方を貫く中程度の長距離ハイキングコースです。
フォルマリン湖近くの標高1,793mから始まり、標高約800mのフュッセンまで、全長125キロのルートは高山からアルプスの麓まで続いています。コースの大部分は緩やかな勾配ですが、一部、急勾配の区間もあります。
多くのアルプスのトレイルと比べると、レッヒヴェークは比較的簡単です。ルート全区間の標高差は、上りで約3,021m、下りで約4,098mです。歩行時間は休憩や給水時間を除き、約40時間です。
公共交通機関に接続しているので、バスを利用してステージを短縮することもできます。
EパスのE4とE5に接続・交差しています。
レッヒヴェーク途中の見どころ
フォルマリン湖
レッヒヴェークスタート地点かつハイライトのフォルマリン湖は、レヒ川の源流域に位置し、息を呑むほど美しいパノラマの景色で訪れる人々を魅了します。
無数の山々に囲まれた標高1,793mの高地にあるこの湖は、特に印象的な撮影スポットです。
ヘンゲブリュケ・ホルツガウ – 壮大な吊り橋
スリル満点の絶景と息を呑むような景色が待っています。レッヒヴェーク沿いに、ホーエンバッハ渓谷にかかる壮大な吊り橋を渡ります。
長さ200mのこの吊り橋は、オーストリア最長の歩道橋です。
ドザー滝
伝説と神話に包まれたドザー滝は、毎年4月23日から11月11日までしか流れておらず、それ以外の期間は完全に姿を消します。
民間伝承では、春になると冬眠から目覚めた竜が泉を開くと伝えられており、科学者たちはこの現象は雪解け水によって地下湖が溢れ出すためだと考えています。
ノイシュヴァンシュタイン城
世界的に有名なノイシュバンシュタイン城は、レッヒヴェークの終点に位置するハイライトです。
ペラート渓谷を見下ろすおとぎばなしの世界のようにそびえ立つこの城は、伝説のルードヴィヒ2世の足跡を辿るハイカーにとって、まさにフィナーレを飾るに相応しい場所です。
塔や胸壁、そしてバイエルンアルプスの夢のような景色など、物語に出てくるようなロマンティックな佇まいは、ウォルト・ディズニーにインスピレーションを与えたことで有名です。
リュフィコップフ
ケーブルカーに乗って標高2,350mのリュフィコップフまでのぼると、息を呑むような周囲の山々の360度のパノラマビューが広がります。
パノラマレストランでは、ゆったりとくつろぎながら郷土料理を楽しむことができます。
レヒファル
フュッセン近郊のレヒファルは、レッヒヴェークの壮大なフィナーレを飾ります。
人工的に作られた巨大な滝を流れ落ちるターコイズグリーンの皮は、迫力ある流れで、息を呑むような自然の光景を作り出します。
変化に富んだハイキングアドベンチャーの締めくくりに相応しい、まさに最高のハイライトです。
レッヒヴェークの15のセクション
セクション1|フォルマリン湖〜レッヒ・アム・アールベルク
フォルマリン湖の近くで複数の小川が合流し、レヒ川の源流のうちの一つ、フォルマリン川が源流となります。数キロ進むと、フォルマリン川とシュプラー川が合流してレヒ川となります。
フォルマリン湖の北には、アルペ・フォルマリンが広がっています。
遊歩道は、アイベックスの回帰を記念するアイベックス記念碑を通過します。現在、約600頭のヨーロッパ最大のアイベックス郡がここに生息しています。
セクション2|レッヒ・アム・アールベルク〜ワース
最初にレヒ川をはるか上から見下ろす高みへと登り、絵のように美しい農地や花咲く高山草原を通り過ぎ、やがて荒々しいレヒ渓谷が壮観な景色を現します。
その後、道は緩やかに標高の高い疎林を登り、ドイツから移り住んだ遊牧民ヴァルザーの村ワースに至ります。
そこでは牧歌的な天然の湖と、フォアアールベルク州で最も標高の高い乳製品店兼精肉店が、くつろぎと贅沢なひとときを誘います。
セクション3|ワース〜シュテーク
トレイルはクルムバハを越えてゲーレンまで続き、チロル州へと続きます。そこから道はレッヒライテンへと登り、パノラマトレイルが始まります。
レヒ渓谷の壮大な景色と、はるか下に流れる神秘的なターコイズブルーの川の水面を垣間見ることができます。
数々のジグザグ道を曲がりくねって下り、小さな村々を通り過ぎると、魅力的なシュテーク村へと辿り着きます。
セクション4|シュテーク〜ホルツガウ
この区間はヨッホヴェークをのんびりと歩き、レヒ川に沿って絵のように美しいホルツガウの村へと続きます。
ここでは後期バロック様式のフレスコ画が多くのファサードを飾り、過ぎ去った時代の豊かさを物語っています。
それらは建築的要素を模倣し、守護聖人や家の紋章を描いています。聖書の場面や、農耕や狩猟にまつわる日常のモチーフも見られます。
セクション5|ホルツガウ〜バッハ
ホルツガウからバッハまでのハイキングコースは、全長10キロのチャレンジングな山道です。
ここでの真のハイライトは、ホルツガウにあるヨーロッパ最長かつ最も壮観な歩行者用吊り橋、ヘンゲブリュケ・ホルツガウを渡ることです。
セクション6|バッハ〜エルビゲンアップ
トレイルは、バッハからエルビゲンアップまで、花咲く草原と木陰の森の小道を抜けて、レヒ川沿いに一直線に続きます。歩きやすいハイキングコースを3キロ歩きます。
レヒ渓谷の地理的中心であり、伝統的な木彫りの町として知られるエルビゲンアップの中心部へ行くには、レッヒヴェークを離れ、中心部へ続く道を進みます。
セクション7|エルビゲンアップ〜ヘーゼルゲーア
エルビゲンアップから、レッヒヴェークへ続く道を通ってレヒ川に戻ります。
そこから川沿いにハイキングし、右手に橋を渡ってグリースアウ村に向かいます。
野原の小道を歩き、最初は小さな林を抜け、その後レヒ川沿いにヘーゼルゲーアまで続きます。
セクション8|ヘーゼルゲーア〜エルメン
ヘーゼルゲーアからは歩きやすいハイキングコースを5キロほど進み、ルクスナッハ村へと続きます。
この村には、伝説と神話に彩られた天然記念物のドザー滝があります。この滝は、4月23日から11月11日までしか見ることができず、それ以外の時期には一滴も水が流れていません。
伝説によると、これは竜が適切なタイミングで水流を開閉するからだそうです。この滝の水は岩の洞窟から湧き出ており、かつては製粉所の動力源となっていました。
セクション9|エルメン〜フォルダーホルンバッハ
レヒ渓谷を進むと、フォルダーホルンバッハの手前で初めてブナの混交林に出会います。
左手にはレヒヴェーク遊歩道があり、かつてのフォルダーホルンバッハ・スキーリフト山駅へと続きます。ここからは、フォルダーホルンバッハとレヒ渓谷の素晴らしいパノラマビューを堪能できます。
遊歩道を下ると、フォルダーホルンバッハに到着です。温暖な気候から、フォルダーホルンバッハは「レヒ渓谷の小さなメラーノ」という愛称で呼ばれています。
セクション10|フォルダーホルンバッハ〜シュタンツァッハ
フォルダーホルンバッハから野原の小道をレヒ橋まで歩きます。ここで川を渡り、川岸に沿ってシュタンツァッハまで歩きます。
レヒ橋の少し手前、まだフォルダーホルンバッハにあるシュタンツァッハへの道から左に少し迂回すると、バイヒルシュタイン礼拝堂に着きます。
さらに歩くと、フォルダーホルンバッハと下流のレヒ川の壮大なパノラマビューを楽しめる展望台に到着します。
セクション11|シュタンツァッハ〜フォルハッハ
このセクションは、レヒ川の最も荒々しい姿を堪能できる場所です。
ドラマチックで険しい川辺の風景を横切り、曲がりくねったレヒ川を辿ってフォルハッハへ。
フォルハッハには、冒険好きなハイカーを誘う吊り橋が架かっています。
セクション12|フォルハッハ〜ヴァイセンバッハ
フォルハッハからレヒ川沿いの遊歩道をヨハネス橋まで進むと、ヴァンダーヴェーグ・アム・レヒというハイキングルートに合流します。
19世紀半ば、この場所に最初の橋が架けられました。かつて利用者は通行税を納めなければなりませんでした。
その後、牧歌的なモースベルク自然保護区を抜けてヴァイセンバッハへと続きます。
セクション13|ヴァイセンバッハ〜ヴェングレ
ヴァイセンバッハの中心部から、レヒヴェークは川沿いに戻り、ロートレッヒ渓谷の出口へと続きます。
ここからリーデンへ進むと、リーデナー湖が待っています。
エーエンビヒルまで歩いた後レヒ橋を渡り、ハーンエンカンムの麓にあるヘーフェンを経由してヴェングレへ。
セクション14|ヴェングレ〜プフラッハ
パノラマトレイルを進むと、息を呑むような景色が広がるコスタリエス礼拝堂に到着します。
きらめくフラウエン湖を過ぎると、プフラッハの牧草地へと続きます。高さ約20mの木造展望台「フォーゲルトゥルム」からは、川沿いの多様な生物が生息する湿地帯を360度見渡す絶景が楽しめます。
プフラッハでは、レヒ川がまるで手の届くところにあるかのような感覚を味わえます。
セクション15|プフラッハ〜フュッセン
この最後の区間では、レヒ川を離れ、森と林業の小道をクニー峠を越えてシュテルンシャンツェまでハイキングします。この要塞はエーレンベルク城世界の一部です。
ここからはオーバーピンスヴァングの美しい景色が待っています。
その後、バイエルン州のアルプ湖を通り、ホーエンシュヴァンガウ城とノイシュヴァンシュタイン城の遠景を眺めながらフュッセンへ向かいます。
レッヒヴェークのハイキングツアー
15のセクションは、長いセクションもあれば短いセクションもあり、この通りに歩かなければならないということはありません。
また、1日で全て踏破することは無理なので、体調やハイキングレベルに合わせて歩くことが良いでしょう。
当社がご案内するハイキングツアーでは、シュテーク発の6日間、本格的な8日間の他、よりゆったりとした日程の10日間も別途用意しています。いずれも、ツアー設定のハイキングレベルは2、「一般的ハイキングコース」です。
詳細は以下よりご覧ください。
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