海外スケッチ旅行を計画するときに失敗しない3つのポイント

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スミュール=アンーオーソワ

今この記事を読んでいるあなたは、おそらく絵画教室で絵画を教えている方ではないでしょうか?

絵画教室と言ってもいろいろあります。水彩、油絵はもちろん、スケッチ専門、あるいは絵手紙といった手軽に始められるもの。モチーフやテーマ(静物、人物、風景など)で分けられていることもあるでしょう。あるいは初心者向け教室から美術学校入試コースまで、レベルに応じた教室もあるかもしれません。

そしてあなた自身も年に何度か国内のスケッチ旅行を実施し、何年かに一度は海外へ出かけた経験をお持ちのことと思います。スケッチはデッサン同様絵画の基本で、スケッチから作品制作へとつながる重要なもの。そしてスケッチ旅行はその制作のための大事な取材旅行です。教室の生徒さんにスケッチを通した作品制作を教える傍ら、展覧会出品のため自分自身の制作も進めなくてはなりません。

近年手軽に始められる趣味のひとつとしてスケッチが脚光を浴びています。絵を描くことの楽しさはもちろんのこと、時々スケッチ旅行に出かけるとなれば、まさに趣味と実益を兼ねた習い事といえます。
そのような今新しく生徒さんが増えて、教室でスケッチ旅行、それも海外へのスケッチ旅行に出かけたいという声が挙がったとき、どこに相談し、またどのように計画すればよいでしょうか?

海外スケッチ旅行に携わって20年以上の筆者が、こうすればオリジナルの海外スケッチ旅行を計画するときに失敗しないというポイントを、3つに絞って紹介します。

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旅行会社はどこへ依頼しても良いというわけではない

国内へのスケッチ旅行ならある程度簡単に計画、手配できるでしょう。生徒さんの中にはそういったことに長けた人もいるかもしれません。しかし、いざ海外へのスケッチ旅行となると専門外のはずです。そんな時はご自身が所属している団体の知り合いの先生から、良い旅行会社を紹介してもらうという方法があります。

かつて日本美術家連盟出入りの旅行会社がありました。そこでスケッチ専門のツアーを造成して会員の参加を募っていたので、おそらく覚えている方も多いことでしょう。その頃はまだスケッチ専門の旅行会社は数えるほどで、おそらく日本中のほとんどの美術家たちがそのツアーを利用した経験があると思います。蛇足ですが、実はこの出入りの旅行会社の担当者は筆者の先輩で、その人から海外スケッチ旅行のノウハウを教えて頂いたといっても過言ではありません。
また教室ごとにお抱えの旅行会社があって、いつも旅行はそこに頼んでいるという場合や、新たに計画するときはネットで調べた旅行会社に依頼する方法もあります。

いずれの場合でも旅行会社に依頼することになるのですが、この時気を付けたいのが「旅行会社はどこへ依頼しても良いというわけではない」ということです。上述の通り、近年スケッチを趣味とした人が増えてきているため、極端にスケッチ旅行を取り扱う旅行会社が増えました。中には大手のネームバリューだけで「スケッチ旅行を取り扱っています」と謳っている会社もあります。

ですが、全ての旅行会社が納得のいく海外スケッチ旅行を取り扱うことが出来るかというと、そうではありません。例えばあなたがヨーロッパへスケッチ旅行を計画するとしたら、大都市であるロンドンやパリの町中でスケッチをしたいと思うでしょうか?おそらく答えはNoだと思います。先にも書いた通り、スケッチ旅行は生徒さんにスケッチを通して作品制作を教える傍ら、ご自身の制作のための取材旅行でもあるはずです。大都市の近未来化した都市をスケッチしたところで、展覧会に出品させるための作品制作にはつながりません。

モチーフにより行くところは変わりますが、スケッチのモチーフとなるのは大都市ではなく、自分の思い描いたモチーフが実在する小さな町や村でしょう。そんな町や村を、町中の大手旅行会社のカウンタースタッフが自ら探して提案できる力量をもっているでしょうか。専門的なことを言えば、その町や村をベースにスムーズな日程を作ることができるのは、スケッチ旅行に特化した旅行会社だけです。

例を挙げて説明しましょう。フランスのブルゴーニュ地方にスミュール=アンーオーソワ(冒頭画像)という町があります。ここはとくに「フランスの美しい村々」に登録されているわけでもありません。アルマンソン川の蛇行に囲まれ、岩山の上に広がったかつての城砦都市です。ここは町の中に入って建物をスケッチしてもよし、川に掛かる石橋から4つの塔をスケッチしても良い町。遠くから、そして町中で、いくらでもスケッチのモチーフがあります。

仮にあなたがこのスミュール=アンーオーソワを気に入って、是非描きに行きたいと思ったとしましょう。あなたの希望とモチーフを聞いて、そこからどのようにプランを作り上げていくかは、普段JRのチケットやパッケージ旅行を受け付けている旅行会社のカウンタースタッフには難しいかもしれません。

スケッチ旅行はスケッチ旅行に特化した、出来れば中・小規模の旅行会社に依頼するのがベスト

です。そしてスケッチ旅行担当のスタッフを指名して依頼できるなら、よりベターでしょう。

作品のテーマやモチーフはハッキリと

マテーラ

自分自身の制作のテーマや、教えている教室のカリキュラムによってモチーフは様々でしょう。また、水彩、油絵、日本画でもモチーフは変わります。

以前イタリアのマテーラ(上記画像)に、水彩画教室のグループと日本画教室のグループを別々のツアーで2度お連れしたことがありました。マテーラはサッシと呼ばれる独特な長屋風の家並みが顕著なユネスコ世界遺産登録都市です。このマテーラをスケッチするとき、水彩画教室のグループと日本画教室のグループではスケッチの技法が違いました。水彩画は全体の構図を考え全体をラフにスケッチしますが、日本画ではスケッチの段階で非常に細かくスケッチするということを、その時参加した先生や生徒さんから教えてもらいました。

またイタリアのトスカーナ地方では、糸杉が点在する緑の丘にの上にへばり付くように広がる小さな村が点在し、いかにもヨーロッパの牧歌的な風景のスケッチが描けます。けれども全ての人がこのような遠景ばかり描くわけではありません。トスカーナ独特の赤茶色の煉瓦で建てられた家並みと路地や、教会の尖塔、素晴らしい装飾を施した水飲み場、かつての洗濯場など、人によってモチーフは様々です。
この時、当社では教室の先生に参加予定者それぞれのテーマやモチーフを詳しく伺い、それに合う町や村をピックアップして日程にしていきます。そのとき、なんとなく「ヨーロッパらしい風景を描きたい」では、プラン提案のしようがありません。

旅行会社にとって最大の喜びはツアー成功はもちろんのこと、自分が紹介して訪れてもらった町や村を題材に作品を制作してもらい、その作品が展覧会に出品されているのを見ることです。そしてそれは旅行を計画したあなたやあなたの教室の生徒さんにとっても喜ばしいことでしょう。

お互いがWin-Winになるためには、計画する前に旅行会社に「はっきりと、詳細にモチーフやテーマを伝える」ことです。

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オリジナルのスケッチ旅行を半年前から計画

ここまで読んでいただいたら、「なんだ、早い話スケッチ専門の旅行会社のツアーに参加すればよいではないか」と早合点してしまう人も多いでしょう。先に書いた日本美術家連盟出入りの旅行会社も年間を通してツアーを何本も造成し、参加者を募集していました。今でも予めツアーを造成して募集するスケッチ専門の旅行会社は数多くあります。

ですが、なかなか既存のツアーに自分の日程を合わせることは難しいのです。

人によって予定は様々で、そう何本も同じスケジュールで出かけられる人が参加できるツアーがあるわけではありません。事実、日本美術家連盟出入りの旅行会社では催行人員不足によるツアーキャンセルは当たり前でした。また既存のツアーが、自分のモチーフやテーマに合うとも限りません。日本全国に何千とある絵画教室の数だけ、スケッチ旅行のスケジュールがあるはずです。ですから

既存のスケッチツアーに便乗することなく、教室ごとにオリジナルのスケッチ旅行を計画する

のがよいでしょう。

旅行会社は説明会開催の都合上教室の近くにあるのがベストですが、必ずしもそうでなくても良いと思います。今はネットを通して情報を得ることが出来るので、たとえ遠方の旅行会社でもご自身の希望する旅行を作ってくれるなら、近くの旅行会社より良いことがあるはずです。当社も、例え遠方の教室であっても説明会には必ず足を運びます。

予算、おおよその参加予定人数は計画に必要かつ重要事項なので、はっきりと伝えましょう。遠慮されては思う通りのプランを提案することが出来ません。

計画を立案する時期も重要です。立案からプラン決定、教室内での参加者募集、説明会、出発までの一連のスケジュールを考えると、最低でも

半年前には旅行会社へ依頼する

ことです。個人旅行ではなくグループサイズで航空座席や宿泊施設の部屋を確保しなくてはならないので、間際では手配のしようがないこともあるからです。

まとめ

あなたが教室の生徒さんから「海外へスケッチ旅行に出かけたい」と言われた時に困らないよう、ポイントを3つに絞ってご案内してきました。もう一度ポイントを簡潔に案内します。

  • スケッチ旅行に特化した旅行会社に依頼する
  • 自分のテーマやモチーフをはっきりと伝え、旅行会社と教室でWin-Winの関係を構築する
  • 既存のツアーを利用するのではなく、教室でオリジナルのスケッチ旅行を催行時期の半年以上前から計画する

当社では計画時の相談から添乗まで、途中でスタッフが変わることがなく専任で案内しています。また当社のスケッチ旅行作りや過去のツアー例、訪れてきた数々の町や村の写真をウェブサイト(以下)に掲載しているので、参考にして下さい。

フライトにあなたの教室のスケッチ旅行を依頼して頂ければ、きっと納得いく旅行を提案できると思います。

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